有限責任事業組合(LLP)と持続化給付金について

LLPでも持続化給付金を受給できましたので、ご報告いたします。

有限責任事業組合(LLP)というのは、民法組合の特例で法律で定められた組織形態です。ここが最重要で、任意団体や民法組合(民法に基づく組合)と異なり、「有限責任事業組合契約に関する法律」によって定められ、法人と同様に登記も行う組織形態です。ただし、法人格はなく、LLPに参加する法人や個人はその事業の損益について構成員が税務申告を行います。

事業ごと、イベントごとに協力しあう組織や個人が一定の規律をもって行動するのに適した組織形態の一つといえると思います。

たとえば、オープンソースソフトウエアなどでも、LLCであったり株式会社であったりと法人格のある運用をされている場合があると思いますが、LLPであれば、法人、個人を問わず、そのプロジェクトに対する利害関係を持つ人の関係を柔軟に設計できるのでソフトウエアプロジェクトにもLLPは向いていると思います。

私も一つ参加しています。

 

さて、そのLLPですが、持続化給付金の対象といえるのかどうかが、一部で話題になっていました。

Yahoo!知恵袋などにも、正誤入り混じった情報が出ていますが、正しくは、

「構成員単位で給付の可否が判定される」

ということになろうかと思います。

 

税理士さん経由で聞いた話としては、少なくとも法人で給付されたケースはあり、その給付と同じような要件で個人参加の場合も申請できると考えられたので、私も申請してみました。

結果、給付されました!

 

そもそも、何が問題か。

その1 制度趣旨・給付対象

持続化給付金の法人としての給付対象は、

中小法人等を対象とし医療法人、農業法人NPO法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。

とのことです。

つまり、「会社以外の法人」も対象です。

そして、中小法人等の給付規定には以下のように書いてあります。

「2020 年4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。ただし、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接又は間接の構成員たる事業者の 3 分の 2 以上が個人または次のいずれかを満たす法人であること。(従って、任意団体は給付対象とはならない。)」

つまり、任意団体は給付対象とはならないが、組合は法人等に含むと解す余地がありそうに読めないでしょうか?!

それはさておき、LLPは法律に基づいて登記も行う組織形態です。少なくとも、任意団体、権利能力なき社団民法組合とは法律に基づく安定性としては別格のものといえます。

ところが、持続化給付金の給付規定等では、有限責任事業組合(LLP)について、一言も触れられていないのです。

そのため、さまざまな憶測と誤認が流布され、LLPでは、LLPとしても法人としても個人としても給付が受けられないといった誤情報が広まってしまうことになるのではないかと思います。

(LLPは制度趣旨として優れていると思われ、経産省主導で導入されていると考えられるのに、いまいち普及しないというのは、省内で、担当部署があまり重視されていないのでしょうかね?)

その2 税務申告の特殊性と売上時期

LLPの税務申告はやや特殊で、パススルー課税といって各構成毎に申告を行うため分配割合に基づいて、損益も貸借も計上されます。そして、税務申告においては、LLPが提出する法定調書のほか、各構成員が確定申告を行います。その際、その各会計科目についてすべて分配することもできますし、年間の収支をまとめて分配を集約した申告も可能です。

ここで、分配を集約した確定申告を行っていると、たとえば、LLPの売上が2000万円でも経費が2050万円であれば、構成員の確定申告書上には売上が現れないことがあります。(売上を分配形状して申告することも選択可能)。

そうすると、LLPでの売り上げが半減して、法人でも個人でも受給できるケースにおいても、LLP(その構成員)に限っては確定申告書に基づく計算というシステム上、受給できないということになります。

ちょっと、わかりにくいと思いますが、正直、制度がわかりにくいので、素人説明にも限界があります。申し訳ない。m(__)m

 

難題は多いが・・

実際に、個別のLLPや構成員がどのような申告を行っているのかによって、受給できる方法や手続きは違いがあろうかと思います。

しかし、私がLLPを構成する個人として受給できた例や、法人で受給できた例があるので、LLPだから受給できないと決め付けた話ではないということはいえます。

 

※ 余談ですが、

消費税のインボイス制度でも同じような問題が生じる気がしてなりません。